419人が本棚に入れています
本棚に追加
キスをきっかけに恋に落ちる…なんて展開になり、契約違反をして婚約解消となるのをルシアンは危惧するだろう。
だからそうはならないときちんと伝えたのだが、当のルシアンは微妙そうな顔である。
「ルシアン様?」
「あ、いや、ちょっと複雑な心境で…」
ルシアンが少しだけしょんぼりしているのは気のせいだろうか?
「嫌じゃ無かったなら良かった」
気を落ち着けるように優雅に紅茶を口にするルシアンを見て、とりあえずこの話はここまでになったとリディは思った。
だが、リディにはもう一つ確認したいことがある。ソフィアナの件だ。
「実はルシアン様にもう一つお話がありまして。ソフィアナ様の件です」
「ソフィアナがどうした?」
「ルシアン様はソフィアナ様が『セレントキス』の悪役令嬢だって気づいてらっしゃいましたか?」
「はぁ…やっぱりか…」
やっぱりということはルシアンはソフィアナが悪役令嬢だと気づいていたのだ。
ルシアンは紅茶を一口飲んで、何から話すべきかと言うように少しだけ思案する様子を見せた。
「以前俺が偽装婚約を持ちかけた時に話したこと覚えてる?」
最初のコメントを投稿しよう!