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もうモブだからという言い訳はしない。その自戒の意味を込めてリディは先ほどの言葉を口にしたのだ。
「さて、そう言うわけで今度こそ宣言するよ。リディ、ルシアン、おいで」
オベロンに促されるように、リディとルシアンは一歩前に出た。
「ルシアン・バークレー。我が養い子である初代ヴァンドール王の末裔よ。妖精王オベロンの名において、本日よりヴァンドール王と認めこの地を治めることを命じる」
「はい」
「リディ・ラングレン。我が一族と共に生きる娘よ。そなたを聖女とし、妖精王の祝福を与える。これはその「新たな証」である、受け取るがいい」
「はい」
オベロンはリディがそう答えると、掌から短刀を取り出した。
それはボルドーワインの色をした宝石とブルーサファイアの色をした宝石の嵌められた短刀だった。
オベロンはリディに手を差し出すように促したので、それをリディは恐る恐る受け取った。
「重っ!」
「大丈夫かリディ!?」
軽いかと思って受け取った宝剣は予想外に重く、リディが宝剣を落としそうになるところをルシアンが支えてくれた。
それはリディが託された責任の重みのようにも感じられた。
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