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一つ、思い当たることがあるがまだ確定ではない。
「…お医者様に診てもらった方がいいかしらね」
リディは一つそう言ったあと、テーブルの上のタロットカードを片付けた。
テーブルクロスを畳んだタイミングで部屋に入ってきたのはルシアンだった。
「あ、ルシアン様。お帰りなさいませ。お疲れ様ではないですか?」
気付けば既に夕刻を過ぎ、ルシアンも仕事を終えて戻ってきたようだ。
ルシアンが羽織るマントを受け取ったリディはそう尋ねた。
「あぁ俺は大丈夫だ。そうだ、今日作ってくれた弁当、美味しかった」
「良かったです!」
「ミートボールなんてひさびさに食べたし、タコさんウィンナーも懐かしかったな」
「ふふふ、喜んでいただけて嬉しいです」
黒地に金の刺繍が施された軍服の襟元を緩めながら、ルシアンはソファへと身を預けた。
正装なのは他国の外交官と会っていたからだ。
そんなルシアンは徐にポケットから手紙を取り出すと、リディに差し出してきた。
だが、その手紙はぐちゃぐちゃになっている。
「これは?」
「隣国のクソバカ王子から、リディ宛だ」
そういえば今日の謁見はギルシースからだと聞いた気がする。
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