豊穣のカードが示す未来

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そしてその王子と言えば一人しかいない。 ナルサスだ。 受け取った手紙をリディは恐る恐る開けた。 ナルサスからの手紙など嫌な予感しかしない。 そして開いたカードに書かれていたのはいつもながらに簡潔な一言だった。 ――王妃の座は開けといてやる。いつでも来い―― (うわぁ…やっぱり…) 「戴冠式があるらしい。その招待だ」 「あぁそれで…王妃…」 ルシアンの事が嫌いになったら嫁に来いと言う意味だろう。 だがルシアンがいるから王妃の立場も頑張れるのだ。ギルシースの王妃など興味はない。 「ふふふ、またナルサス様のいつもの冗談ですよ」 「冗談でも不愉快だ」 そうぶすくさ言う姿にリディは思わず笑みをこぼした。 なんだかんだ言いつつ、ルシアンとナルサスは盟友のような関係になっている。 ダンテを結婚させるためにロッテンハイム家に圧力をかけたチームプレイに始まり、シャルロッテ断罪に手を貸してくれたこと、その後も何かと二人協力プレイな事柄が続いている。 「それより、今日はアレットさんのパンケーキがあるんですよ?お茶を淹れますね」 そう言ってリディはお茶の準備を始めた。
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