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ぼくの仕事はこういった環境問題予測モデルを作る為のプログラムと、そのGUIを作る事だった。興味深い話ではあったけれど、マイクロプラスチックも、議題に挙がっている水産物も、要素のひとつに過ぎない。どういったコンディションでどういう状況が起こり得るのか。条件値をスケールで刻んでモデルに放り込み、予測をコンピュータに吐き出させる。環境問題も、海洋資源も、ぼくにとっては材料にでしかなかった。
彼女はぼくの隣で、熱心にメモをとり、時折コンピュータを操作して検索したりしながら、登壇者の話を真剣に聴いていた。受験を控えた学生のようでもあったけれど、今後の仕事にそんなに役立つ話には、ぼくには思えなかった。
セミナーはさしたる盛り上がりも無く終わり、出席者はそれぞれ挨拶したり、名刺交換を行ったりしていた。ぼくはこの手の儀礼的なものがとにかく苦手で、そそくさと帰ろうとしていた。
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