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襲われた鉄壁
その時タルカスは、バーニーに連れられて、院の研究棟を回っていた。
「まあ、この辺は、平和な趣味のサークルでして」
俺が回っていいのか?って言ったら、英雄王陛下のご学友だったタルカス・シーボルトさんでしょう?顔パスですよ顔パス。って返答があった。
欲しいのは、マリアベルの情報だけで、ハッキリ言って院を彷徨く意味は全くなかった。
だがなあ、うちの王様院とはそりが合わねえだろうし、俺が内情視察するくれえはいいかあ。
「ていうかよ、チェスとオセロのサークルばっかりじゃねえか」
「今は亡きレイロードがオセロのグランドチャンピオンですしねえ。ま、元々院ていうのは、かつて存在した魔王が、知性で自分を越えてみせろってことで作られた場所ですし。多いのは当然ですよ。流石に、オセロやチェスじゃアカデミーには負けませんよ?何しろ僕が開発した広域爆裂型ポーンは、盤上の相手布陣を一撃で吹き飛ばす威力でしてね」
ああ、まあ、魔王はまだまだ負けねえだろうなあ。こんな頭のいい馬鹿に。
サウス・フォートの混世魔王が、あの伝説の魔王ってのはまだ秘密だしなあ。
ああジョナサンの野郎、あいつもこんな気持ちだったんだな。
知ってるが秘密ってのを、隠し持つ気持ちって奴は。
ん?魔王の野郎のこと考えてたら、どこだ?ここ?
あ?バーニーの野郎もいねえし。
研究棟の隅に、何の看板もない扉を発見した。
バーニーの奴がいねえんじゃ、入るしかねえか。
扉を開けたところで、タルカスは異様な光景を目撃した。
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