捕まっちゃった王様

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捕まっちゃった王様

 学園国家アカデミーは、セントラル連邦の1つとして建国され、建国時の憲法によると、王族に対しても、公平に法によって裁かれ、そこに国民も王も関係ない、法の下の平等下にあると定めてあった。  要するに、王様だって悪さすれば捕まる。  役人達は、ああこの馬鹿やっちゃったよ。ざまあ。って目で俺を見ていた。  ただ、一応俺頑張った王様なんだよ?少しは敬意を示してくれよ。とは思っていた。 「アカデミーの弁護士をしております。アリシアです」  がめつそうなおばさんが、俺を見下していた。 「ああどうも。ただ、あんたどっち側の人?」 「勿論、性被害者側です」  ああ。コオオオオオオ。っつってた子ね?  あれか?コオオオオオオって、太陽的なエネルギーでウリイイイイイイ!ってのを溶かすの?  いや、エビルの本に賛歌的な概念としてあったの。コオオオオオオってのが。  エビルはそう言うのを、オバドラ使いって言ってたな?  オバドラって何だかよく解らんのだが。 「で、あのコオオオオオって子、名前は?」  よくもまあぬけぬけと。アリシアのおばさんが吐き捨てた。 「名前も知らない女性を、貴女は凌辱した。そう仰りたいんですね?王陛下」 「ああ。それについては違うとしか言いようがなくて。食堂のロリババアに沈められて、目が覚めたらその子が裸で寝てたんだ。あんた、あの子の代理人だろう?自分が何をしているのか、ちゃんと認識してるんだよな?」 「彼女は、サウス・フォートのアフターピルを購入したようですよ?そうでなければ、1週間後は母親になってますし。望まぬ妊娠。その民の思いを汲んでくださっている、サウス・フォートの混世魔王陛下は、素晴らしいお方ですね」  いや、実際ボロカスに言われてるただの魔王なんですが。伝説の。  それと、お前まで信じてんのか。俺の妊娠お化けって、悪意のある噂を。  実際、女王孕ませるのに、2か月かかったんですけど。 「とりあえず、俺を開放してくんない?コオオオオオオって子と話したいし」  無言で、おばさんが机に投げだしたのは、日刊アカデミーの記事だった。  衝撃!犬捕まる。  我等が国王陛下を称する発情犬が、匿名希望の王宮スタッフに性的暴行を加えて、本日未明、捜査員に拘束された。  この見出し何?俺王様だよ?犬捕まるって。  あああ。彼女がどうして、俺という男の毒牙にかかったのか、克明に記されてるよ。  尚、この逮捕劇に際して、急速に国王退位の運動は激化する模様。と書かいてあって、窓の外には、 「やっぱりあいつはクズ犬だあああああ!お嬢様を返せえええええええええええ!」  やっぱり群がってんなヨーゼフジジイお前! 「我々、アカデミー風紀健全化戦線は!邪欲に塗れた国王の退位を要求するものでああああある!」  またけったいな戦線が出来ちゃってるし。拡声魔法でがなるなよなあ。  匿名希望の王宮スタッフ?ってことは、あれかあ。  俺を王宮から追い出して、どうするつもりなんだ? 「アカデミー刑法第213条、婦女暴行の量刑は、終身刑です。お認めになられますか?」  その辺の量刑がやたら重いのは、セントラルと協調関係にあるからで。 「認める訳ないだろうが」  ジョナサンは、名前も解らない女と、降って湧いた戦いに身を投じるようになっていた。  ってことは、セントラルも。  俺は、1人、かの地の愛人に、思いを馳せていた。
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