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陛下。女王陛下。
セントラルの首相、ガリバー・クロムウェルが、女王の部屋のドアをノックしていた。
あああ。怠い。女王、ミラージュ・デラ・ウィンシュタット・エルネストは、ベッドの上でクロムウェルを招いていた。
「何?またダーリン捕まった?今度は何よ?」
「は。婦女暴行容疑ございまして。それだけではないようです。不正経理の疑いが。まあ主に、遊興費でございますが」
「はっ。だから、遊興費はよく考えて使えって言ってるのに。ダーリン、貧困妄想にとり憑かれてるでしょ?1ループ単位でケチってるでしょ?使い込まれてるわね。ダーリン訴えたのって、王宮スタッフでしょ?多分、横領犯はその女よ。ただ――」
「はい。背後にいるのは、恐らく」
「面倒臭い奴ね。タルカスの奴の弟は。ダーリン追い出して、何がしたいのよ?」
「ああ、ついでながら、例の、「箱」の件です。最近、議員連盟の中で、「箱」が発見されたという流言が、広がっております」
「うちの切り崩しまで始めたのね?捜査官は何をやってんのよ?」
それだけで、今後の流れが読める。恐ろしい女王の知性の冴えだった。
「増えるわね。議員の離籍って奴が。ドンドン」
「仮に、学王閣下の疑惑を晴らしても、次から次へと疑惑が表出すると思われます」
ああああ。怠いのよ。まだ陣痛来てないしさ。
臨月前の女王は、お腹の子のハッスルに付き合わされていた。
元気よすぎて。うちの子達は。
「ユノの卒業も間近でしょ?さっさと片付けないと」
女王は、携帯を取り出した。
「ああ、アリエール?ロズウェル元気?そう。それから、落ち着いて話聞いて?今から説明するから。そう、財政監査の仕事よ?対象?アカデミーよ」
嬉ションしそうなほど、向こうのテンションが跳ね上がっていた。
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