そして、いつもの交差点

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そして、いつもの交差点

 手を取り合ったまま、お互いしばらくの沈黙・・・。 「 あのっ・・・」 「 えっと・・・」    同時に何かを言いかけたが、薫の方から、 「 えっと、いつも交差点ですれ違いますよね。   ずっと気になっていたんです。」  驚きと嬉しさと緊張と戸惑いで心臓が壊れそうな薫。  (勇気,勇気、勇気!) 「 えっと、私は半年前に初めてあなたをあの交差点でみてからずっと気になっていました。また会えたらいいなって思ってたんですけど、最近になって、よく見かけるようになって、毎日のまた会えた、また会えたが積み重なって、どんどん勝手に好きになってしまって・・・。」  まくしたてるように一気に自分の感情を吐き出した。  薫の人生史上最高に心臓が高鳴っている。  つながった手の握りが、少し強くなったのを感じた。  その時、薫のお腹がグゥ~となった。  なんてタイミング…。  一世一代、決死の告白のあとにお腹が鳴るなんて。  恥ずかしくて顔があげられない。 「 あの、お腹空いていますか?   もし、よかったらこれから僕の家に来ませんか?   簡単なものですが、何か美味しい物を作りますよ。   こうみえて僕、ここのレストランの副料理長なんですよ。」  なんということ! 「 はい、めちゃくちゃ空いてます!」  最高の誘い文句に薫の笑顔がはじけた。       そして、深夜の誰もいない交差点を  手を繋ぎながら、初めて二人並んで渡りきった。  デブ専同士のゲイカップルの誕生の瞬間のお話でした。
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