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 マンションに帰宅し、部屋着に着替えてソファにだらしなく身を委ね、コンビニで買った生クリームたっぷりのシュークリームを頬張りながら、物思いにふける。  黒ジャージの男は自分の存在に気づいているのだろうか?  自分たち以外に誰もいない交差点で毎日のようにすれ違っているんだから、さすがに認識していないはずはない。    でも、今日も目すら合わなかったし。  ウォーキングに必死でそれどころではない?  いやいや、そんなに必死の形相で歩いてないし。  あ~、完全に片想いじゃん。  そう、薫はいわゆるデブ専である。  理想のタイプは熊のぬいぐるみのような人。  職場の歓迎会を兼ねた飲み会で帰りが遅くなった半年前のあの夜、まさに理想のタイプの男が交差点の向こうから歩いてきた。  それ以来、出会うことはなかったのに、  フィットネスクラブ通いを始め、0時07分の地下鉄で帰宅するようになってから、会えるようになってしまった。  はぁ、どうやったら仲良くなれるのかな?  やっぱり声をかけるしかないと思うんだけど、そもそも、交差点ですれ違いざまに声をかけるのって無理あり過ぎじゃない?  せめて同じ側の交差点で信号待ちできればいいのに。  
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