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「ギー助、フォルテ、鳴らすぞ!」
「ぎゅぃぃぃぃん!」
「|,<」
走馬灯が流れてきそうな局面で脳髄に響いたのはもう一人の馬鹿の音だった。
「チューニングOK、ヘッドホンSTAND BY、届け!LOCK AND ROCK!」
こちらを指差した直後、口上と共にかき鳴らされたギター、爆音は彼女の指差した1点に集束する。
指差された神隠しはオレごと吹き飛ばされた。
「…くっそ、リリーてめぇ、いつからダンテと同類になったんだ!本業はどうした、本業は!」
瓦礫を除けて、リリーに抗議する。
「脳筋バカと一緒にするんじゃねぇよ!先ずは、リリー様ありがとうございます、だろうがよ!」
「…ちっ、ありがとよ。ってか、何でそんな物騒な必殺技持ってんだよ。」
「いやぁ、LIVEで使えるかなと思ってさ!」
「お前、ファンに浴びせるつもりだったのか…。」
神隠しは消滅していた。
どうやらオレは掠った程度で済んだらしい。
「おい、ボサっとすんな!直ぐ後ろまで来てるぞ!」
後ろから追い付いてきたダンテの怒号にオレとリリーは後方を確認する。
神隠しが再び跳躍、ダンテの頭上を飛び越えてオレに襲い掛かる。
「シンバ!」
リリーが構えるが、一手遅い。
(…くっ、間に合わねぇ。)
だが、飛び掛かって来たのは神隠しだけではなかった。
左は黒。
右は白。
神隠しの背後、左右から同じ言葉が叫ばれる。
「「オープン!」」
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