プロローグ

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ダンテへの加勢か、神隠しを押さえるか…。 ひと呼吸の間に詰められる距離で双方を見る。 ダンテが此方に一瞬視線を飛ばし、白に突っ込む。 オレは白の後方から飛び掛かる。 白がダンテに手刀を構えた刹那、オレは叫ぶ。 「シャッフル!」 オレとダンテの位置が切り替わる。 「しゃあ、上出来だシンバ!」 宙に飛んだダンテは落ちる勢いそのままに拳を放つ。 「俺・鉄・拳!」 しかし———。 「無刃大剣(むじんたいけん)護尊(ごそん)。」 白は完全に読み切っていた。 読み切っただけならまだいい。 チャンピオンの拳を手の甲だけで弾いてみせた。 「!?シンバ、上だ!」 ダンテが仰け反った瞬間の叫びはオレの視線を空へ向けさせた。 視界から消えていた神隠しが上から降ってくる。 「ワンパターン野郎がっ、ディスタンス!」 今になって振り返っても笑えない失策だった。 ワンパターン野郎はオレだった、相手に晒した手札を使うとは。 無法な追いかけっこの終わり、オレとダンテは消えた。
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