シンバ

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夢を見る。 情報の整理と納得するには余りにもかけ離れた光景を。 地下へ地下へと無数に伸びる幅の狭い螺旋階段。 ゴウン…ゴウン…ゴウン…。 出鱈目に絡みつく配管から聞こえる機械の駆動音のようなモノだけが確かに虚しく響いている。 配管の隙間から液体に満たされたガラスが覗く。 視線がガラスの方へと向けられる。 パッキョン。 年季の入ったオイルライターで作品の完成に紫煙を添える。 「…ふ____ 「シンバさん、シンバさん、新作ですか!?新作ですか!?」 余韻を吐き出すより早く五月蝿(うるさ)い奴に見つかった。 「ふー…。」 オレは気持ちを落ち着かせる為、ゆっくりと息を吐く。 「さっっっっすがアルスペンの公認アーティスト!として街々をパルクールで駆け抜け、に見出されてからの活躍は目覚ましく、新作が世に出ればその場所がアルスペンの観光地と化すシンバさん!新作のタイトルは!?新作のテーマは!?新作に込めたメッセージ____
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