北風と太陽と旅人と

はい、どうも、通りすがりの旅人です。
先ほど、北風さんと太陽さんの勝負に巻き込まれて、外套を脱がされたところでして……「おしまい」後、ちょっと話しさせてもらっています。

「良くないと思いますよ～、こういうの」
「「……はぁ」」
「近隣の村から、乾燥して作物が育たないって苦情が出てましてね」
「「えっ」」
「常習ですよねぇ、私で何人目ですか？」
「いや、そんなには、ねえ、北風さん」
「そ、そうだよ、まあ、確かに興が乗ってしまったことは、あったかもしれないが」
「ダメでしょう、元々この地域は温暖でおだやか気候なんですよ、多少のストレス発散は目をつぶっていましたが、これはいけない」
「えっと、あなたは旅人さん……ですよね」
「そうですよ。気候変動の調査をする旅人チームに所属しています」
　サッと身分証明書を掲げる。
「「………………」」
「詳しく話をお伺いしますね」
「「……はい」」
「あっ、その前に雲を呼んでもらえませんか？喉が渇いたので、雨を降らせてください」