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公園で彼はベンチに横たわっていた。
「ねえ手相見せて」彼女はいった。寒いからもう帰ろうぜと彼はいった。
「手相見せてよ」
彼女はこれまで彼の手のひらをじっくり見たことがなかった。彼女は彼の左手をつかんで、手のひらを見た。生命線が長かった。彼の生命線は、手のひらを飛び出して手首まで達していた。彼女は彼の手首をひねりながら、生命線を目で追った。生命線はそのまま手首の裏側まで延びていった。手首をぐるっと一周して、手のひらへ戻り、もとの生命線と合流していた。
「これはどういうことかしら?」彼女はいった。彼の手は氷のように冷たかった。
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