28人が本棚に入れています
本棚に追加
磯貝さんのサンダルがペッタペッタと、臆病者を嘲笑うかのような情けない音を立てる。
圭は静かに闘志を燃やしながらその音を見送る。否、聞き送る。
彼の言う通りだった。
圭が一番恐れていたのは自分が傷付くこと。障害を盾にし、そこから逃げていたことに気が付いた。
恋愛なんて元々、誰もが傷付くリスク承知で挑むものだ。そこに障害の有無は関係無い。
磯貝さんは圭を障害者として扱わず、同じ人間として熱いエールをくれた。そしてその言葉は確かに圭の心に火を灯した。
夜。圭は劇場版『テニス探偵』のチケットを2枚予約した。
最初のコメントを投稿しよう!