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「まあいいや、吾は選ばれた乾鵲で、選ばれた乾鵲には余裕があるものさ。チーミンが現実を見たくなるまで待ったって、ぜんぜん構わない」
ユゥジンは再び気ままにユゥジン的世界観を展開し始めた。つまり人の話を聞かずに話を進めだした。
「潔斎も済んだ。次は適正を見るよ」
ユゥジンの羽の合図に答えて、お仲間が、雲を一巻きと、小盒(小物入れ)を掴んで飛来した。
「雲を適当にちぎって、息を吹きかけて、それから、小盒の中に入れて」
チーミンが言われるままにすると、雲は縮んで脚が生え、かさかさと動き出した。それは水滴のように透明な――
「ひゃわ! 喜子!」
の、ひゃ! も言い終わらぬうち、蓋はすみやかに閉じられ、チーミンは手を挟みそうになった。
「巣の張り具合で適正を見たら、すぐに業務だよ。心配ない。気負わずとも、チーミンはできる」
「できる? 何を? さっきから思わせぶりに……私に何をさせたいんです?」
「チーミン、あんたを呼び寄せたのはほかでもない」
かしこまるように両羽をいちど広げ、もったい付けて閉じ、首を伸ばしたユゥジンは、おごそかに打ち明けた。
「――来たる本年の七月七日、天に五色の雲が現れ、チーミン、あんたの世界は滅ぶ」
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