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この鳥、けったいなことを言い出した。
「チーミン、あんたの住んでた世界、空に赤い妖星が見えていただろう。あれは、ここ月廠がつけた、規格外の印だ。印のつけられた世界は、七月七日の夜、ほどけて無に返る――って、いま大事な話してるから、枝毛探しは後にしてチーミン!」
「私の国、一大巨編が上演されるたび世界が危機にさらされるんですー。それが年間に百を越えててー」
「作り話だと思ってる? まさか。予定されてるんだ!」
「予定―?」
「あんたの世界――浮槎といったか、その名が、月廠の『表』に名が乗ってる。この表に名を書かれた世界は消える」
鳥が滅亡論を語り出すとか天上界ではフツーなんだろうなーぼちぼち慣れて行こう。と、チーミンは枝毛を探し続けながらも、話にだけは応じてあげる。
「ふーん、いかにも天上界っぽい設定」
「今度の織客は飲み込みが早い。ここは月廠、世界の夜の部分を作る工場。天河を挟んで対岸の日廠は、昼を作るそれ」
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