1章 ようこそ天上界

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天河と地海とは、通ず。 天河に織女神あり。河海を渡るに乾鵲の橋を以てす。 地海を行くこと数里、浮槎に至る。 織女、五色の(きぬ)を織りて(ひろ)ぐ。 たちまち三光、天地を照誋し、五穀穣る。 此において昼夜生まれ、百姓(たみ)安まる。 ()れ、天河織女の浮槎王と為る所以(ゆえん)なり。 チーミンは、浮槎の民なら誰もが知る、一千年前から歌われる浮槎開闢の古詩をそらんじてみせた。 「まだ足りませんー? 歴代織主五十名を始祖から順に挙げていきましょうか?」 「チーミン、」 ユゥジンが遮った。その目には深い色が浮かんでいた。 喜怒哀楽を全て内包した吸い込まれそうなその色で、ユゥジンは告げる。 「それを含めて、この日月廠が作ったんだ」 作った?
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