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ユゥジンをはじめとする鳥男子どもは、毛刈りされて冷えたようだ。あちこちで噴嚔の音が聞こえる。まあ、そんな連中に、水に手をつけろというのは酷かもしれない。鳥たちは羽毛を提供することで、すでに十分にチーミンに協力してくれている。そう思うことにした。
チーミンは一人で羽をもみ洗いし始めた。
乾鵲の羽は、カラスの羽のような質感だ。全体にごわごわしていて、芯が堅い。鶏や鴨の柔毛とはわけがちがう。
「こんな質感のものが糸になるわけが……」
とぼやくチーミンに、ユゥジンはしきりに噴嚔をしながら笑いかける。
「いい手つきいい手つき――クシュン!」
とりあえず人と話すときは洟をかんでから話せ。洟を垂らしていても美形なんて反則ではないか。チーミンが心中で悪態をついた時だ。
なんと盥の中で、乾鵲の羽は羊の毛のようにほぐれだした。羽も軸も、みな柔らかな繊維状に変わっていく。
これなら糸になりそうだ。天上の井戸水には特別な力があるらしい。
竹籃をひとつひとつ処理していき、すめば干して乾かした。
美丈夫群が手でそよそよと風を送り、乾かしているのはえもいわれぬ無駄さと色気とあやしさだ。天上の乾鵲ってやつは、まったくもって役に立たない生物だ。
チーミンはまた鼻血が出てくるのを感じた。
綿状になった羽は、翌朝には乾いていた。
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