2章 星の修復

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「クシュン、世界がほどけるまであと四日」 色っぽい後れ毛を揺らしながら、美青年姿のユゥジンは世界の期限を告げた。 「今日は何を?」 「チーミンには関心関心、こんな朝から起こされるとは、途方もない意欲を感じるよ」 眠そうにユゥジンは目をこすり、あくびの下からそう言った。 このいいかげんな鳥男の言を全て信じているわけではないが、納期を指定されたからには、何があろうと守る。それが浮槎の織官だ。経験上、人間は四日徹夜したくらいでは死なない。 納期を守るためなら、宿り木に留まって眠っていたユゥジンを、幹を蹴ってゆさぶり起こすくらいしても罰は当たらないと思う。 「ふわああ、じゃあ、今日はこの綿状にした羽毛を、縒ってこの糸車に巻いていこう」 チーミンは糸巻きの歌を歌って踊るだけで働かない美青年群(とりたち)の中でひとり、鼻血に耐えながら糸を縒る。なかなかの孤独感だ。 水をつけながら、繊く、繊く、しかし硬く縒りすぎないように注意しながら、ねじっていく。親指と人差し指が痛み出すので、途中、縒る指を換えながら。 ふいに、胸に苦しさを感じてチーミンはむせた。地面に真紅の液体が広がった。 「わあっ、どうしたのチーミン⁉」
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