1章 ようこそ天上界

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浮槎は小島の連なりからなる国だ。 浮槎以外に国はなく――そのためこの国の名は、この世界の名でもあった。 大小の連珠(しま)は、それぞれ、王宮のある島、市の立つ島、耕作用の島……などなど、用途で使い分けられている。 島と島との往来は、船舶のみ。 チーミンは漕ぎ手の兵に、身分証である金の()(=縦糸の間を左右に滑らせて横糸を織り込むための舟形の道具)を提示した。 市の立つ島で見繕えば、いくらでも宮中にふさわしい重七用の菓子を選べるはずだ。
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