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王子様は迎えに来ないし、テレビに出てるあの人と街角でぶつかって恋に落ちたこともない。
かっこいい幼なじみもいないし、同級生と運命の再会もしたことない。
どのくらいの人が御曹司や弁護士に溺愛されてるんだろう。
ボヤきたくなる31才、会社員・独身。
ボヤいてはいるけれど否定しているわけじゃない。
むしろ大好き。
その昔お姫様になりたかったくらいに憧れている。
憧れと現実との違いを知りすぎた年齢になったことをちょっと嘆いているだけ。
携帯漫画、携帯小説は便利ね。
本屋さんでは恥ずかしくて買えないような題名の作品も思う存分読めるから。
通勤電車で朝から溺愛を堪能し、コーヒーを買って出社する。
仕事は好き。
忙しくて疲弊しているけれど、色々な言い訳に使えて便利。
特に婚期について責める親から逃げるにはちょうど良い。
待遇も人間関係も悪くないから、ずっとここで働くのかなとボンヤリ考えている。
いつもの時間いつもの場所いつもの仕事。
本当にそれでいいのか、私!?とも思うけど、劇的な変化を起こすには多大なエネルギーが必要で。
今はそのエネルギーを発動するには仕事が忙しい。
…ほら、便利でしょ。
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