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「でね、二人のどっちかに次の班長やってほしいんだけど。っていうか、やってもらわなくちゃいけないんだけどね」
にっこり笑って和歌ちゃんが言う。和歌ちゃんは一個上で、同じ登校班の班長さん。もう来月には六年生が卒業するから、次の班長を決めなくちゃいけないって。
うちの登校班は和歌ちゃん以外は五年生の私と、湊人。あとは二年生の陽介。だからどっちかがやらなくちゃいけないんだけど。
「莉子でいいじゃん」
「はぁ!?」
あっさりと押し付けてきた湊人に、思わず大きな声を出した。
「なんでよ!湊人がやればいいじゃん。私、班長なんて無理だよ」
「そう?やってもいいけど。莉子、わかってる?」
「なにを?」
「副班長って一番後ろ歩くんだ。その前を歩くのは……」
湊人の言葉に思い当たって、私はガックリくずれ落ちるように椅子にもたれた。
うちの登校班には一人、問題児がいる。
落ち着きがなくて、すぐに列から飛び出していこうとする陽介。
今の登校班の並び順は前から、和歌ちゃん、陽介、湊人、私。
本当は副班長の湊人が一番後ろを歩いていたんだけど。陽介がすぐに飛び出して行っちゃって。
あいつが一年生の頃はまだ私でも捕まえられた。でも二年になったらすばしっこさが増して、私や和歌ちゃんの事をバカにするような態度も増えた。
すっごいムカついたけど、なんせいきなり走り出すから反応出来ないし。あいつ絶対わざとやってるし。
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