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そしたら湊人が並びを代わってくれて、陽介をしっかり捕まえてくれるようになった。二人は同じ空手の道場に通っているんだって、お母さんが教えてくれた。
見た目にはわかんないけど、湊人は地域の道場では強いらしくて。
陽介はそんな湊人が怖いらしい。
真後ろを湊人が歩くだけで大人しくなるなんて、どんだけ怖がっているんだか。見た事ないけど空手やってる湊人って、そんなにおっかないのかな?
何にしても、湊人のおかげで登校班に平和が戻ってよかった!
それでも時々やらかすのは、陽介も友達見つけるとつい動いちゃうんだろうね。
「それに、莉子。今度登校班に入ってくる新一年生って、お前ん家の隣の子だろ?そしたら莉子が班長の方が安心するんじゃねーの?」
「それは……そうかもしれない」
お隣のあやちゃん。赤ちゃんの頃から知ってるし、今でも時々一緒に遊んだりする。
保育園で作ってきてくれた折り紙をくれたりとか、妹がいたらこんなだったかな?って思うかわいい子。
確かにあやちゃんの事を考えると、湊人より私が先頭に立ってあげたい。
「わかった。私、班長やる」
「わあいっ!莉子ちゃん、ありがとう!あっさり決まってくれてよかったよ~」
湊人の方を見ると、やれやれという顔をしている。
こいつ、もっともらしい事言ってたけど、本当は班長やりたくなくて、私に押し付けたんじゃない?
そう思わなくもないけど、決まったものは決まったものだし。
あやちゃんの事を考えると、やっぱり私が班長でいいのかもって思う。
そのかわり、湊人。陽介の事、頼んだからね!
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