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「じゃあ、行くよー」
順番に並んだ事を確認して、出発する。
六年生になって、班長として先頭に立って数日。
……甘かった。ただ前歩けばいいってわけじゃないんだね。
和歌ちゃんが普通にしてたから特に大変じゃないと思っていたんだけど、後ろに小さい子を連れて歩くのが、こんなに気を使うとは思わなかった!
後ろに続いているから、私だけのタイミングで動いちゃいけないんだ。
そして何より一番の問題は……
「ふぇ~~~~んっっ」
後ろから泣き声が聞こえてきた。
足を止めて振り返れば、あやちゃんが泣いている。
「あやちゃん?どうしたの?」
「っっりこちゃっ。あ、あのねっ」
胸に、ぽすんっと収まって、あやちゃんがしゃくりあげる。
頭をよしよしとなでてから前を向けば、湊人に怒られている陽介がいた。
またか。
ちっちゃい子いじめとか、本当にしょうもない。
あやちゃんがかわいいからなんだろうけど、陽介は気がつくと、あやちゃんにちょっかいをかける。
髪の毛引っ張ったりとか、ランドセル叩いたりとか。
自分よりお兄ちゃんにそんなことされたら、嫌だし怖いに決まってる。
湊人もこれは予想してなかったみたいで。反応に遅れて今日みたいに後から注意する、という事が続いてしまっている。
これは、問題だ。
あやちゃんのためにも。問題なく登校するためにも。
陽介をなんとかしなくちゃいけない。
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