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電話を切った雪の視界に、男が入り込んでくる。
「雪ぃ、お前ってマメなんだなー。わざわざ一人一人着信音変える?つーかマナーにしとけよ。」
隣りで講義を受けていた、未だに名前も知らぬ男子だ。
何でお前が私の名前を知ってるんだ。
…そう言うと面倒くさそうな返しをしてきそうな奴だ。
雪は瞬時に判断した。
「うるさいわねぇ、ほっといてよ。」
雪の苛立ちは口調に表れていた。
「ストラップか何か知らねぇけど、ダッサいの付けてるし。ってかスマホに普通何か付ける?」
イラッ。
「う・る・さ・い。ほっといて。……さっきも言ったハズだけど?」
「はは、悪い悪い。さて、と。講義も終わったことだし、パンでも買ってくるかなー。」
男は不快さを残したまま、講義室を後にした。
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