第一話

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電話を切った雪の視界に、男が入り込んでくる。 「雪ぃ、お前ってマメなんだなー。わざわざ一人一人着信音変える?つーかマナーにしとけよ。」 隣りで講義を受けていた、未だに名前も知らぬ男子だ。 何でお前が私の名前を知ってるんだ。 …そう言うと面倒くさそうな返しをしてきそうな奴だ。 雪は瞬時に判断した。 「うるさいわねぇ、ほっといてよ。」 雪の苛立ちは口調に表れていた。 「ストラップか何か知らねぇけど、ダッサいの付けてるし。ってかスマホに普通何か付ける?」 イラッ。 「う・る・さ・い。ほっといて。……さっきも言ったハズだけど?」 「はは、悪い悪い。さて、と。講義も終わったことだし、パンでも買ってくるかなー。」 男は不快さを残したまま、講義室を後にした。
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