第一話

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それは馴染みの無い音。 それなのにも関わらず、どこか懐かしい音。 聴いたことのない音楽。 しかしそれを奏でる音色は、どこかで聴いたことのあるような、楽器の音。 「…ギター?……いや、もっとこう和テイストな…弦?……琴⁇」 雪は怪訝な顔をしながら、電話に出る。 「もしもーし…?」 返事は、無かった。 沈黙だけが、雪の耳に流れ込んでくる。 「もしもし、誰?……何これ?高度なイタ電?」 風。 雪の下から舞い上がり彼女を浮かせる、風。 激しく優しく雪を包む。 突如として、それは現れた。 「…およ?何で私浮いてるワケ?ここ講義室の真ん中よ?」 至極真っ当なツッコミをするも、その冷静さはすぐに失われる。 風が暴れだしたのだ。 「ぬぉおおおぅおうおうおお⁉︎」 雪は外に放り出された。
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