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それは馴染みの無い音。
それなのにも関わらず、どこか懐かしい音。
聴いたことのない音楽。
しかしそれを奏でる音色は、どこかで聴いたことのあるような、楽器の音。
「…ギター?……いや、もっとこう和テイストな…弦?……琴⁇」
雪は怪訝な顔をしながら、電話に出る。
「もしもーし…?」
返事は、無かった。
沈黙だけが、雪の耳に流れ込んでくる。
「もしもし、誰?……何これ?高度なイタ電?」
風。
雪の下から舞い上がり彼女を浮かせる、風。
激しく優しく雪を包む。
突如として、それは現れた。
「…およ?何で私浮いてるワケ?ここ講義室の真ん中よ?」
至極真っ当なツッコミをするも、その冷静さはすぐに失われる。
風が暴れだしたのだ。
「ぬぉおおおぅおうおうおお⁉︎」
雪は外に放り出された。
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