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「山ちゃん! 週末暇?」
「うん。暇だけど」
「飲み会があるんだけど、来ない?」
「飲み会?」
友達が申し訳なさそうに言う。私が大学に入って初めて話した相手だからか、たまに声を掛けてくれる。
「うん。来てもらうはずだった子に彼氏ができちゃって」
「それは合コンというやつでは」
「そうだったんだけどさあ。セッティングしたのに、肝心の本人が来ないんだから、単なる飲み会だよ、もう」
とはいえ、私は場違いというか、もっと可愛い子の方がいいんじゃないかな。私、全然モテるタイプじゃないし。そんな台詞が口から出そうになるのを飲み込む。
「ほんとごめん! 助けると思って来て!」
場所を聞くと、おいしそうで気になっていたお店だ。行く機会もそんなにないし、気楽に参加することにした。
五対五の飲み会だけど、私以外の女子四人は男子達と面識があるらしく、内輪の話題で盛り上がっている。
これ、私、別に来なくてよかったのでは? そう思いつつ、食べに走る。元は取ろう。おいしい。
周囲を見ていると、他にも飲み会をしているグループがあった。
あっ、と気づく。
近くで見ることのできた日はラッキー。そんな横井くんを合法的に眺められる機会に恵まれるとは。
なんだかつまらなそうな表情だけど、それすら彼の美しさを引き立てているように感じられて。
とりあえず、終わりまで、食べて飲んで、合間に横井くんを眺めてやり過ごそうと決め、実行した。
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