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序幕
ワース歴622年、魔剣が再び現れた。誰も知らない存在とされた剣は、その姿形、いつ誰によって作られたのか、誰が所持していたのかさえ不明だった。王族も魔塔も魔族も民衆さえも知らない存在。不思議なことに誰も知らないはずの魔剣についての噂話は多く、どれもこれも信ぴょう性を持たないかわりに嘘という根拠も、またなかった。歴史上、なぜ魔剣が現れたと断言できたのか。それを紐解く鍵は、伝承として残された記録しかない。矛盾しているが、敢えて矛盾の中に真実を投じたのではないかと、ホーキンズ現魔法学アカデミーの教授の祖父がワース歴540年に書いた著書『魔法と魔剣』に記されていた。『約束を違えると大きな災難が降りかかる。彼の剣も頼みの綱とならずこと心すべし』と。
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