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「私服なんて久しぶりだな」 美々はそうボソッと呟くと、私服に着替えると巫女服をハンガーに掛けていた。 「夕弦」 「あっ… 美々さん、着替え終わった?」 「変じゃないか?」 「…可愛いですけど?」 「そ、そうか」 美々はソファーに腰掛けると、夕弦が料理をする様子を眺めていた。 「美々さん、今日はハンバーグですよ」 「肉」 「ふふっ キャットフードじゃ飽きました?」 「嫌? 夕弦が作るから美味かったけど」 「今は人間食ですね」 「そうだな」 美々は窓に近づくとまだ雨が降っていて、ハァーっと溜息を吐いた。 「よく降りますね? 昼からの予報は晴れだった筈だったけどな」 「夕弦、料理は?」 「煮込みハンバーグなんで、煮込み中です」 「そうか」 美々は窓の外を見つめると、夕弦は心配そうにジッと見つめてくる。 「何だ?」 「美々さんが居るのが嬉しいんです」 「そんな事でいいのか?」 「いつも神社で寝てるでしょ? 家に来たがらないでしょ?」 「…それは」 「分かってますけどね? 猫の時は神社から離れたらダメって…」 「…うん、そうだ」 「猫神様だから仕方ないですが、寂しいですね」 「蔵に泊まるか? 毛布はあったし」 「まあ、美々さんのプライバシーもありますから我慢しますけど… 今はしなくていいですよね?」 「…そうだな」 美々はそう告げると、夕弦の方に振り返ると自分からキスしてみた。 「大胆ですね、美々さん」 「…夕弦、この手は何だ?」 美々は腰の辺りにある手を指差しながらそう告げると、夕弦はニッコリ微笑む。
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