☆1

15/15
前へ
/42ページ
次へ
「美々さんを逃さない為です」 「…逃げないから、やめろ」 「仕方ないですね?」 夕弦はニッコリ微笑むと、美々の唇にそっとキスすると離れた。 「どのぐらい煮込むんだ?」 「20分ぐらいってレシピにはあるな」 「ふぅん?」 美々はソファーに腰掛けると、夕弦が膝を指定してくるので首を傾げる。 「美々さん、寝転んで? 膝枕したい」 「…猫じゃないんだぞ?」 「じゃあ、膝に乗っけますね」 「なっ?! ちょっと?」 美々はいきなり膝に乗せられてビックリしていたが、夕弦はギュッと抱きしめてくる。 「夕弦?」 「美々さんに触れるって幸せです」 「いつも触ってないか?」 「毛並みが良いですからね?」 「反応を見て愉しんでるの間違いかと思っていたのだが?」 「まあ、それは少しありますけど… 触りたいのは本音です」 「…そ、そう」 美々は少し照れくさそうにそう告げると、夕弦は隣に下ろすと左薬指にキスしてくる。 「指輪してくれたんですか?」 「あ、あぁ… 押し入れの小物入れに入ってたから」 「嬉しいです」 「まあ、一週間だけだが恋人だからな」 「美々さんを人間に戻す方法は見つけたいですね?」 「…それは難しいと何度も伝えた筈だ」 「それでも諦めるのは嫌なんですよ? 神様の気まぐれで猫になっちゃった訳ですから」 「そう言うな? 仕方がなかったのだろう」 「…美々さんは優し過ぎなんですよ」 夕弦はそう告げると、料理の出来具合を見にキッチンに向かうと美々もシュンとしていた。 「美々さん、出来ましたから食べますよ?」 「うむ、楽しみにしていた」 美々はニッコリ微笑むと、煮込みハンバーグを美味しく平らげたのだった…。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加