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摩訶不思議な事が好きな天宮心は大学を卒業してからは、夕立喫茶店でアルバイトを始めていた。 「心ちゃん、これ食べてみて?」 「稚珈くん、これは?」 「シフォンケーキだよ? 試食して?」 「あ、はい? では…」 「あっ… やっぱり食べさせたいから待って?」 稚珈はそう告げると、カウンター側にやって来ると隣に腰掛けるとフォークでケーキを運んでくる。 「稚珈くん、食べれますから…」 「やだ! 食べさせる」 「もぉ… 最近我儘になってますよ」 心は困った顔をしながら参っていたが、大人しく口を開けるとシフォンケーキが入ってきた。 「お、美味しいです」 「ふふっ なら、良かった」 「これお店に出すんですか?」 「うん? デザートも良いかなって思ってね?」 「いいと思います! 美味しいし」 心はニッコリ微笑むと、稚珈はケーキの乗った皿をカウンターに置くと手をギュッと握ってくる。 「?」 「心ちゃん、目閉じてみて?」 「へ? は、はい?」 心が素直に目を閉じると、稚珈は唇にキスすると生クリームをペロッと舐め取ってみた。 「?!」 「ふふっ 素直に閉じて可愛い」 「だ、ダメです!」 「もう済ませたし、遅いよ?」 稚珈は悪戯っぽくそう告げると、もう一度唇を奪うとカウンターの内側へと戻った。 「…稚珈くん、今のは泥棒みたいですよ」 「キス泥棒?」 「そうです! ダメですからね?」 「うぅーん? ドキドキ感は大事だと思うんだけどな~」 「それはそうですけど… ビックリしますから」 「心ちゃん見てるとしたくなるんだもん」 「…少しは我慢してください」 心が照れくさそうにそう告げると、稚珈はニッコリ微笑むとカウンター越しに手をギュッと握ってくる。
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