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「書物でも読むんですか?」 「まあ、偶にな」 「器用な爪をお持ちなんですね」 「夕弦も泊まる?」 「抱いて寝ちゃいますけど良いんですか?」 「…破廉恥な奴だな、全く」 美々は呆れながら唇をタオルで拭いていたが、夕弦が手をギュッと握るので塞がれた。 「な、何だ?」 「美々さん、唇乾燥してますよ? リップ付けるからジッとしてください」 「…う、うん?」 美々が大人しくしていると、バニラの香りのするリップを唇に塗り込まれた。 「甘い香りだな」 「好きですか?」 「まあ、嫌いではない」 「よし、保湿出来ました」 「あ、ありがとう」 美々は照れくさそうにそう告げると、夕弦は髪を櫛で解いてくれていた。 「自分でするから」 「良いでしょ? 美々さんに触りたいだけですから」 「動機が不純だぞ?」 「俺も美々さんに触って欲しいですよ?」 「…そ、そうだな」 美々は戸惑いながら夕弦の手に触れると、ギュッと握られた。 「美々さん、やっぱ可愛いです」 「…夕弦、もう良いだろ? 流石に恥ずかしい」 「美々さんにも慣れて欲しいな」 「…ごめん?」 「嫌、無理強いは良くなかったですね? 俺が悪かったです」 「デートとは何をするんだ?」 「うーん? まあ、恋人達の自由ですからね? 手を繋いで歩くだけでもデートになるのかもな」 「…そうなのだな」 「美々さん、付き合った人居ないって言ってましたもんね?」 「うむ、居なかった」 「初で可愛かったですからね~」 「夕弦はモテていたんだろ」 「モテたくはないですけどね? 女子はすぐ騒ぎ立てちゃいますからね」 「…何故私なんだ?」 美々が疑問そうにそう尋ねると、夕弦はニッコリ微笑むとこう答えた。
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