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「目的地って、遊園地だったのか」 「恋人のデート地の基本だろ?」 「美々さん、お手を?」 「な、何だ?」 「逸れないように繋ぎますよ? 人がいっぱいですから」 「う、うむ」 美々はそっと手を預けると、夕弦はニッコリ微笑む。 「可愛いです、美々さん」 「そ、それより何から行くんだ?」 「うーん? 鏡迷路がありますね」 「そうだな?」 「行きましょう」 「あっ! 心達は?」 「フッ 恋人同士がみんなで周ると思いますか?」 「居ない?!」 「ほら、諦めて行きますよ? 俺が居るなら平気でしょ?」 夕弦が余裕綽々な笑みを浮かべてそう告げると、美々は照れくさそうに頷く。 「やっぱり可愛いですね?」 「夕弦、入るぞ」 「勇ましいですね」 「迷子になったら置いていくぞ?」 「ふふっ 美々さんはそんな事しません」 夕弦がそう告げると、美々は無理矢理引っ張ると鏡迷路の中に入った。 「美々さんがいっぱい」 「夕弦もだろ?」 「可愛いですね」 「ほら、バカやってないで進むぞ」 「わかりましたよ? でも、迷いながらの方が楽しめますよ」 「夕弦、好きだな」 「美々さんはワクワクするの嫌いですか?」 「嫌? 夕弦が楽しいなら私も嬉しい」 美々が素直にそう告げると、夕弦は堪らずギュッと抱きついてしまう。 「夕弦?」 「美々さんが喜ぶ顔が見たいんです。 だから、後5日は楽しませたいです」 「…うん、ありがとう? でもまたいつか人に戻れるぞ」 「今度は半年じゃ済まないかもでしょ?」 「神様は気紛れだ。 猫も同様にな」 「俺は美々さんを元に戻したいだけです! なんなら、俺が代わりに猫になっても構わない」 夕弦がそう告げると、美々は悲しそうな顔をするとこう言った。
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