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「夕弦が代わりになるなんて嫌だ。 私はそんな事望んでいない」 美々はそう告げると、鏡迷路をスタスタと進むと出口に出てしまった。 「美々さん、待って」 「夕弦、温かい物が飲みたい」 「あ、はい? 寒いですよね」 「あれは何だ?」 「珈琲に好きなチョコレートを溶かして飲むやつですよ?」 「ふぅん? 甘いのだな」 美々がそう告げると、夕弦は珈琲にチョコレートを淹れた飲み物を購入するとベンチに座る。 「熱いのでゆっくり飲んでくださいね?」 「夕弦は飲まないの?」 「美々さんが温まる方が優先です」 「じゃあ、少し飲む?」 美々はそう告げると、カップを渡してくるので夕弦は一口だけ飲む。 「ふぅん? 結構相性が良いんだな」 「甘すぎるか?」 「いえ? 珈琲はブラックにしたので、普通ぐらいではないかと?」 「そ、そうか」 美々はフゥーと冷ましながら一口飲むと、パァーっと笑顔になる。 「美味」 「ふふっ やっぱり、甘党ですね」 「夕弦だって、好きじゃない?」 「美々さんが甘い物が好きだから嵌っただけですからね?」 「とか言って、私より甘い物に詳しいじゃないか?」 「美々さんの甘い物好きが移っただけですよ」 「ふぅん? でも、夕弦は喫茶店でケーキ作ってるわよね」 「それは、担当任されてですよ」 夕弦がそう告げると、美々はフッと微笑むとムギュと鼻を抓んでくる。 「美々…さん?!」 「降参したら離してやろう」 「わかりましたよ? 認めますから」 「なら、良かろう」 美々はフッと微笑むと、鼻から手を退けるとまた飲み物を飲んでいた。 「次は何したいです? 美々さん、乗り物苦手でしたよね」 「あんまり速いのとかは… 怖いな」 美々がそう告げると、夕弦はそっと手を握ると微笑む。
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