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再三になるが。私は結構、瑛南に関しては過保護だという自覚がある。
ただ、それは瑛南に今まで数々の問題があったからこそ。見た目に妙に自信がない瑛南だったが実際は結構可愛い顔しているし、容姿に触れなければ運動神経も良くてそこそこ明るい普通の女の子だ。友達も少なくないし、結構モテると知っている。それだけに、高校時代から危ない男に引っ掛けられそうになっては私が助けるという事が少なからずあったのだった。
ちなみに、私は高校時代、柔道部の主将をやっていたと補足しておく。ちょっとした暴漢くらいならば投げ飛ばせる自信があった。今でも、ジムに定期的に通ってトレーニングしているので、一般の成人女性よりかなり腕力も体力もあるという自負がある。
「え、えええええええええええええ瑛南っ!そそそそそそそそそ、その人危ない人じゃないよねっ!?」
思わず甲高い声で叫んでしまう私。
「瑛南本当は可愛いんだからねめっちゃ可愛いんだからね!?私忘れてないよ高校の頃痴漢されていることも気づかずにクソ野郎に好き勝手されてた時のこと私があのクソでクソ野郎の足踏んで救出しなきゃあんたお尻触られてることも気づかなかったでしょそれからタツ大の受験会場でまさかのナンパされた時はまったく気づかなくてステーキ奢って貰えるという話にほいほいついていってお酒飲まされそうになったことも私は知ってるんだからね他にもいろいろとやばいエピソードあるでしょそうそう去年の文化祭の時に不良っぽいひとたちに脅されてることも気づかなくて私がぽいぽい投げ飛ばすまではあんた結構ピンチだったというかそれからそれから」
「わ、わかった!わかったからさっちゃん!おおおお落ち着いて!?さっちゃんが落ち着こう!?なんか止まれない暴走機関車みたいになってるからぁ!」
「はっ」
いけない。完全に我を失っていた。私は慌てて周囲を見回す。びっくりしたようにこっちを見ているカップルや女子高校生たちと視線があってしまい、顔が熱くなった。
我ながら、瑛南のこととなると見境がなくていけない。それもこれも全部、危機感がなさすぎる彼女のせいなのだが。
「ご、ごめん。その、心配で」
私がしおしおと萎みながら席に座りなおすと、わかってるよ、と瑛南は引きつった笑みを浮かべた。
「ごめんな、マジで。アタシが情けないから、さっちゃんが心配しちゃうんだよな。今までいろいろやらかしたもんな……」
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