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今でもあなたを追いかける
「君と丘をくだり、夕焼けをながめる」
「……君と丘を」
咲は凛の後を追いかけるように歌声を響かせた。
輪唱だ。
凛は新星歌手コンテストを経てプロデビューしたが、ソロではあまり売れなかった。歌は抜群にうまかったが、「綺麗だけど何かが足りない」、「知る人ぞ知る歌手」と評された。
咲は自分を負かした相手が、どうして評価されないのか不満だった。高校生のコンテストには絶対出ようと決意した。
咲は有言実行で、高校１年で新星歌手コンテストの大賞を獲得した。
ラクミュージックは、二人を輪唱コンビとして売り出した。コンビ名は『凛唱』。
元々二人は歌唱力があり、プロのレッスンも受けていた。歌手としての技量は申し分なかった。
二人の曲は、
「絶妙なハーモニー」「カエルの歌レベルMAX」
と高評価を得た。ネットの再生数は１００万を超え、ダウンロードも１万回を超えた。
「咲ちゃん、私、あなたと出会えたからアイドルとして生き残ることができた」
凛はいつも咲に感謝の言葉をかける。
「凛ちゃん、私の方が上手く歌えるようになったら追い越してやるから」
咲はいつもの返答をする。
咲は笑いながら、脇役もいい仕事だなと思い始めていた。
完
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