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気がつけば公園には子供達の声が響いていた。
「ねね!」
後ろから美南の声が聞こえた。少し眉毛を下げて私を見る。
「遅いから心配して探したんだよ?」
「ごめん……でも私、翼くんに会えた……」
私はさっきの出来事を美南に伝えた。信じてくれないと思ったけど、美南は最後まで私の話を真剣に聞いてくれた。
「あのね、ねねに言おうかどうか迷ったんだけど……翼くん猫を助けてトラックに轢かれたの」
あの猫は翼くんが助けた猫で、もう一度私たちを出会わせてくれたのだろうか。
私はちゃんと彼とお別れしたかったのだ。もう一度彼に会えてさっきまでの気持ちが嘘のようにスッキリとしている。
「ねね、大丈夫?」
隣にいる美南が心配そうに私を見つめる。
「うん。もう大丈夫。私、翼くんのこと忘れない。翼くんは今もどこかで見守ってくれてると思うから」
美南は私の変わりように少し驚いていたが、すぐ帰ろうかと家の方へと歩き出す。
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