ブルーアイキャッツ

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 でも別れは突然訪れた。高校三年になった頃だった。バイトから帰る途中、彼のお母さんから連絡が入った。彼が交通事故にあったと聞かされたのだ。突然の事で頭が真っ白になった。とりあえず搬送された病院へと私は向かった。 「翼くんっ……」  私が病院に着いた時にはもう彼の意識はなかった。そして、そのまま目を覚ますことはなかった。  それからのことは覚えていない。余りにも突然のことだったから信じることが出来なかった。何とも言えない無力感に襲われる。 「嘘だよね。翼くんが死んだなんて」  部屋の中で一人、そう言って私は笑いながら泣いていた。  こんなに辛くて悲しい思いをするならいっそのこと出会う前に戻りたい。彼と出会わなければこんな思いなんてしなかったはずだ。全て彼との思い出を記憶から消してしまいたいと思った。
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