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「忘れたい…忘れたい……」
そう言いながら私は無我夢中で家の中にある彼に関係するものをゴミ袋に詰め込み始めた。
私のために記念日にくれた指輪。少し背伸びをしたかったのだろう。後日やっぱり本当はこれをあげたかったと動物についての本を渡された。他にも沢山のものを彼は私にくれた。私はそれを全てまるで機械のように次々とゴミ袋に入れる。
「翼くん、お願いだから忘れさせて!」
気がつけばゴミ袋いっぱいに物が入っていおり、代わりに机の上はほぼ何も無い状態だった。それほど彼の存在が私の中で大きかったということが分かって余計に辛かった。
唯一机の上に飾っている猫のキーホルダーと目が合う。私があの日、可愛いと言ったからわざわざ買いに行ってくれた。告白してくれた時に手渡してくれたキーホルダー。私はキーホルダーを掴み、ゴミ袋に入れようとして手を止めた。
「せめてお別れくらいさせてよ……」
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