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ヨハネの黙示録
「あのなァ、朝っぱらから気色悪い笑い声を上げるなよ。ジジーがァ!」
すぐさまビーナスは心配げに辺りを見回した。
最近、近所から小学校がうるさいとクレームが寄せられ、この魔界野小学校の廃校の一因にもなっていた。
今は急ピッチで、東京湾の埋め立て地に新しい校舎が作られていた。
「ぬうゥ……、ジジーではない。吾輩はパパじゃァ」
魔王は隈取りのような派手な化粧を施し、黒いマントをまとっていた。見ているだけでも暑っ苦しい。
「知るか。なんだよ。『獣の数字』って?」
ビーナスはワケがわからず、机を拳で叩き確かめるように訊ねた。
「カッカカッ、心ある者は『獣の数字』を唱えよ。『獣の数字』は人の数字にして、【666】なり」
魔王は愉しそうに笑みを浮かべ応えた。さすがに、そういうオカルトチックなことには詳しいようだ。
「えェ、なんだよ。そりゃァ?」
ビーナスは魔王の説明を聞いてもワケがわからない。何度も首を横に振ってみせた。
「カッカカッ、有名な『ヨハネの黙示録』の一節なのじゃァ!」
「ううゥッ、『ヨハネの黙示録』……?」
ビーナスは聞き覚えがない。
「カッカカッ、一夜にして校庭に【666】と象られたのは、凶悪犯罪の予告なんじゃァ」
魔王はヤケに嬉しそうだ。
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