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俺の弟に聞いた事がある。真也は大きくなったらどんな大人になりたいか、と。
真也は少し考えた後、俺にこう言った。
「家族や友達が喜んでくれるお仕事をする大人になりたい」
真也が好きな物は音楽と土いじり、家族が喜ぶ野菜や花を作る事。そして妹と幼い甥っ子が喜んでくれる歌を唄う事だ。
真也には「ディスレクシア」という障害があって、発達障害も認められる事から学校は福島に引っ越して来てからは支援学校に通った。
ディスレクシアは一般的な理解能力などには殆ど異常は無いが、文字の読み書きなどには著しい困難を抱える障害である。
有名人だとトム・クルーズやアーノルド・シュワルツェネッガーが病名を公表している。そういう障害があっても大スターになれたのだから、当人の努力は相当なものだったろう。
だから真也は歌も楽器もその全ては耳から覚えた。それであのクオリティなのだから一種の天才だと思う。
これは真也への神の贈り物だとうちの家族は知っている。
もちろん家族の見守りや協力があってこその事だけど。
真也はとても綺麗なボーイソプラノで歌を唄い、オカリナやカリンバという可愛い楽器を上手に奏でる。
真也の歌う子守唄で末っ子のひかりは大きくなった。
そして今はその歌を、俺の息子の為にも歌っている。
家族の為になにか出来るという大事なアイデンティティを持つ真也は、やっぱり立派な出雲の男だと思う。
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