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北と悠里は間もなくこの町に帰ってくる。
そうと聞いたのは少し前の年末の事だ。
そして正月にはこちらに帰省もしていた。北兄妹に会うのを楽しみにしていた真也が、とても喜んでいたのを覚えている。
北達は真波酒造の社宅に三日程泊まって、又仙台に戻って行った。
三月になり、間もなく北兄妹と新たな家族になった仔猫も一緒にこの町に帰ってくる時期となった。今はそれが楽しみだ。
「龍兄ちゃん達が帰るのは15日だったかな?」
カイおじさんの一家を見送ったあと、駐車場で真也が言う。
「ああそうだ、荷物もそれなりにあるらしいからこっちから俺がトラックを持っていく。隆成おじさんが醸造所のを貸してくれた」
「そうなんだ」
悠里があの状態だから、北も一人で引っ越しは大変だろうと手伝いがてら俺も仙台に行く事にした。
あいつは遠慮するかと思ったが、意外にもあっさりと手伝いを頼まれた。
どうやら先日の仕事中に腰を捻ってツライとか。まぁ無理をするのが十八番の北が、俺を頼る位だから余程酷いんだろうな。
「真也も行くか?」
引っ越しなら男手はある方が良い、もう真也も十分戦力だ。
「行きたい!」
「分かった」
仕事が始まったら兄弟で出掛ける事もあまりないだろうから。
ドライブにはいい距離だ。
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