道行かば腹が鳴るなり東大寺

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 修学旅行に着る制服のスカートの丈は普段よりは少し長めにするように、と生徒には説明しておいたが高校生は過激だな、と彼は少し恐怖を感じた。 「悔しいな」気が付くと気になっている教師の女の美津子が横に並んでいた。 「どうしましたか?」 「生徒は平気でミニスカートをはけるけど私は教師だから駄目だし、それで大原先生に見られて喜んでいる娘もいるのかもしれないし」 「そんな娘いないですよ」 「そうかな?」 「そこまでの変態はいないですよ」 「ならいいけど」 「生徒を信じましょう」 「そうですね」  生徒たちは東大寺の大仏を見上げて聳え立つ姿に驚いた後に千手観音を見ていた。彼らは仲良し同士でグループを組みそれぞれに見学していた。  鹿のいる公園に行き皆で楽しんだ。鹿は独特の瞳をしているものだな、と彼は詩を書きたくなったのだ。  そのあと宿に戻って昼食した後えらい僧侶の話を聞きに寺に行った。 「修学旅行に来てお父さんやお母さんたちに本当に感謝しているか」と僧侶は言った。寺の奥の間に生徒たちは集まって皆静まりかえっていた。  そのあと宿舎に戻って男の教師だけの部屋に入って話した。 「私も僧侶の話を聞いて反省したよ」大原は言った。 「僕も似たようなものだ」話し相手は熊と呼ばれている社会科教師であった。大原は国語の教師であった。
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