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「は、はは!ほら、やっぱりそうだよな!はは、あっはっは!パパが魔法でみんなを笑顔にしたら、アンも幸せだよな?」
けど、サンタの目は笑っていませんでした。
サンタは必死でした。
口は笑っているのに、目は少し泣きそうでした。
「…うん。」
「はっはっは!」
「パパの魔法、好き。」
「うん。」
「凄く、好き。」
「うん、うん。」
サンタは確認するかのように頷きます。
「だけどパパが好きだから…。魔法が無くてもいい。」
「ん?うん。」
アンは一体、何を言っているのでしょうか?
アンの言葉の意味をサンタは考えます。
「パパと一緒にいたい。もっと一緒に遊びたいし、ママと3人でお出かけしたり、おしゃべりもしたい。みんなも好きだけど……3人でもっといたい。」
「え…アン?」
「ふわ、おやすみなさい。」
アンはそのまま寝室に戻ってしまいました。
サンタは考えます。
考えて考えて考えます。
でも考えれば考えるほど。
サンタの顔から笑顔は消えていきました。
ロゼも笑顔ではありませんでした。
けど、怒ってもいませんでした。
ロゼはただただ、サンタに向かって口を動かしました。
「…何というか、その。かける言葉が見つからないわ。おやすみなさい。」
ロゼも寝室に行ってしまいました。
「そうか。…そうかぁ。そう、だよな……。」
サンタは椅子に座りました。
そしてやっぱり考えました。
今までのこと。
これからのこと。
だけど、やっぱり。
考えれば考えるほど、サンタの顔はこわばりました。
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