第9話

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パチパチ、パチ。 パキ、パキ。 夜、サンタは1人でした。 暖炉から鳴る音に、サンタの咳が重なります。 「ゴホゴホ!今日は冷えるな。……寒い、な。もうすぐ12月だもんな、当たり前か。はは。」 笑い声は寂しそうでした。 それはサンタが1人だからでしょうか? それとも別の理由でしょうか? サンタはアンの言葉を思い出します。 「……魔法がなくてもいい、か。あれからずっと。どうしようどうしようってずっとずっと考えてみたけど。……ははは。僕、やっぱりバカだからさ。」 サンタは指を鳴らそうとしました。 そんなサンタの指を、ロゼは両手で包み、止めました。 サンタのそばにやってきたロゼは、泣いていました。 「お願いだから、もう、やめてよ。」 「…ごめん。ゴホゴホ!」 「もう、やめて。だって…だって……。」 やめてと言ってやめたとしても。 もう、すでにそれは遅いこと。 もうどうにもできないことだとわかっているから。 ロゼの涙は止まりません。 浮かんでくる思い出に嬉しさはあるけど後悔もあるから。 後悔が生まれてしまったから。 サンタは謝るしかありません。 もう、どうしようもないから。 サンタの咳は治りませんし、寒気も止まりません。 「あなた…あなた死んじゃうのよ⁉︎」
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