第9話

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ロゼは、はっとしました。 そして首を横に振ると、今度はロゼが謝りました。 「…ごめんなさい。」 ロゼは少し遠くを見ました。 「確かに嫌なことは多かったわ。嫌なことの方が多かった。この前あなた言ってたわよね?周りが笑ってる方が嬉しいだろって。私はそうは思わない。…でも。」 それでも、やっぱり、笑顔は素敵なものだから。 好きな人の笑顔は、特別に好きだから。 ロゼは泣いているのに笑いました。 「あなたの笑顔を隣で見ることができて、私は幸せでした。あなたの、みんなを笑顔にするという夢を隣で見れて、私は……。」 言葉を続けられなくなってしまったロゼを、サンタは抱き寄せました。 サンタは魔法の使いすぎで、腕に上手く力が入りません。 それでも、一生懸命に、ロゼを抱きしめました。 「…ごめん。泣かしちゃって、ごめん。」
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