その骨には鎖がついていた

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「被告人を懲役12年に処する」 俺は刑の重さに愕然とした。 前科(マエ)があるので重くなるだろうとは覚悟していたのだが、まさかここまでとは…… 俺の手には再び手錠がかけられ、腰縄も付けられた。 官吏に連れられて退廷する。 送致先はどこの集治監(しゅうちかん)になるのだろう。 再犯なので巣鴨に送られると思っていたのだが、俺の行き先はなんと、釧路(くしろ)であった。 手錠をかけられ腰縄を付けられたまま、長い船旅を経て北海道へとたどり着いた。 道中では、笠を深く被らされた。 顔を晒さないのは、囚人たちへの配慮なのかと思っていたが、そういうことではなかった。 囚人たちの中には、俺のように徒党を組んで罪を犯した者も大勢いた。 集治監(監獄)への移動中に、仲間が囚人を奪い返しに来ることがないよう、顔を隠しての移送ということであった。
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