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高橋(桃)
鈴木君に失恋してから、暫く絵を描く気になれなくて部活を休んでいた。心理的なものなのだろうか…相変わらず大きな鈴木君の声は、これまでよりもより大きく聞こえる様な気がした。
ある日、家の門を開ける時、人の気配を感じてそっと振り向くと、そこになぜか佐藤君が立っていた。
「…え⁈」
「え⁈」
驚いた私以上に驚く佐藤君に困惑した。この状況の意味が全くもってわからない。
「あ、のー?」
「いや、マジごめん‼︎わけわかんねぇ‼︎」
「はぁ?」
「いや、元気ねぇなー…と思って見てただけなんだけど」
「心配してついて来てくれた…って事?」
「そうそう。それ」
照れた様に笑いながら少し俯いた佐藤君。髪がキラキラ光ってとてつもなく綺麗だった。
「描きたい…」
「ん?」
「描きたい‼︎とてつもなく描きたい‼︎」
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